Saturday, March 10, 2007

モバイル2.0を目指して(DDnewsコラム 10月掲載)

極端に「ケータイはただの個人用ポストに過ぎない」と言い切ってみる。
ポストであるわけだから、個人宛の郵便物(メール)はもちろん、購読している新聞や雑誌、企業からのDMやカタログ、投げ込みのチラシなんかも混じる。
ポータルサイトの閲覧や検索行為などのプルとしての能動的挙動はもちろんあるものの、わざわざ自分から行動を起こさなくても、自分の求める、あるいは興味のある有益な情報が程よいタイミングで入ってくればそれにこしたことはない。
それがうまくできないから、わざわざ自分にとって使えるサイトをブックマークしたり興味のワードを都度入力したりして欲しい情報を探し出し自分のポストに引っ張り込もうとするわけだ。
個人の志向や求めるモノ・コトが、多種多様になればなるほど、対象となる情報もまた一つ一つが細かくそして深くなる。そして、ある個人にとっては広告だが、別の個人にとってはコンテンツとなる。広告の総量が必ずしも増大しなくとも、RSSフィードなどの手段により情報の最適流通が実現でき、見る側にとって健全なコンテンツ化が進めば、市場全体として活性・拡大するのではないだろうか。
テレビに代表される従来型のマス広告や検索を中心に急激な伸びを示すネット広告を横目でみながら、消費者の「欲しい・知りたい」と、企業の「知らせたい」を、ちゃんとつないであげるリコメンド型プッシュプラトフォームとして(自分のポストにはなぜか興味を引くチラシばかり入ってくるって意味で)、広告宣伝・販売促進シーンでの、ポストたるケータイの可能性は極めて大きい。
この巨大な市場で勝ち組になるプレイヤーは、果たしてどこだろうか・・・


Monday, November 06, 2006

モバイル2.0を目指して(DDnewsコラム 9月掲載)

WEBやケータイが勝手に2.0として進化しているのではない。
我々人間や社会のあり方が、インターネットというオープンな環境に慣れたことで、少しずつ精錬されて進化し、その中で更なる欲求を満たすための手段として活用し変化させているに過ぎない。ケータイに限定してその進化形を考えてみると、表現は古いが、本当のOneToOneメディア、プラットフォームが突き詰められ、成長してゆくことであろうと確信する。それに加えて、個人の情報発信欲求の激増と、その情報信頼性をある種割切って許容する環境・風土が整う中で、特派員的な個人からのリアルの情報源がコンテンツとして成立するようなCGM化の流れは避けられないであろう。信用足りうる情報源は、必ずしもどこかの機関や企業が取りまとめて編集・加工して提供しなくとも、賢いユーザ自信は判断・評価して利用する素地ができつつある。企業発信の広告においては、それが広告として認識されるのはでなく、受けてにとって有益な情報でありコンテンツとして受け止めらることが重要だ。極めて大事なことは、個人発でも企業発でも、細分化されたコンテンツがある基準でしっかりとタグ付けされていること、そしてそのコンテンツにマッチする利用者側のセグメント属性とリコメンド情報、そして何よりケータイとしての利用時のシチュエーション(時間とエリア)の掛け算によって、より精度の高いマッチング型情報流通へシフトすることが、ケータイ上における情報流通の成功の鍵であるのはないかと思う。
「欲しい情報だけを欲しい時に」が、基本的な考え方としてぶれないように意識することが重要だ。(続く)

Saturday, August 26, 2006

モバイル2.0を目指して(DDnewsコラム 8月掲載)

どこもかしこもWEB2.0だが、日本のケータイマーケティングシーンでは、残念ながら1.0未満という状況。一方、ケータイにおける今後のパラダイム変化を踏まえ、流通する情報や広告は、量・質ともに劇的に拡大するポテンシャルを持っていることは疑う余地がない。
情報は、より細分化されロングテール化して流通する。その新鮮な情報を然るべきターゲットにダイレクトに伝えられた時、企業はケータイ特有の”実売につながる価値”を享受でき、量的・質的制約の多いケータイだからこそ、余計なノイズを排除したリコメンド型プッシュとしての価値が認められる。
PVがメディアの価値を決めてきた従来のやり方は変貌し、広告、販促費の構造的シフトは確実に起こる。リアル、リテールマーケットとの親和性の高いケータイ、実売につながる武器だからこそ、従来のCRM概念を大きく揺るがすかも知れない。
原点に立ち返り、”ケータイ”の特性(実売へ直結する武器)を正確に捕らえた上でメディア、ツールとしての進化を見据え、日本発の進化版モバイルWEB2.0が、概念ではなく実際のマーケットから形成されていって欲しい。その為に、より多くのプレイヤーがPCの横展開ではない意識で積極的に取り組み投資する必要があるのと同時に、MNPや新規参入等によって従来のキャリア主導型のサービスプロバイドから脱却し、真の意味での自由競争主義の素地が一日も早く確立することが、このマーケットを急成長させる決め手になると確信する。(続く)